野火

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私は葬式を感じた 頭の中で。会葬の人たちが行ったり来たり 歩いている 歩いている そうしてついに。感覚が裂けていくようだ。会葬者がみな座ると 拝礼が始まった 太鼓のように。叩く音 叩く音 そしてついに 自分の精神が麻痺していくかと私は思った。それからみな棺を持ち上げ 私の魂を横切ってきしみをたてる音 またしてもあの鉛のブーツ それから 空間が 鳴り響き出した。まるで天空のすべてが鐘になったよう 存在は 耳となり 私も 静けさも 周囲からは切り離された種族 衰弱し 孤絶し ここで。それから理性の底板がぬけて 落ちていく どんどん そうして世界にぶつかる 落ちるごとに もうわからない そして。

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  • お先、どうぞ

    黒い、見慣れぬ帆をなびかせ、ひきつれているのは、鳥もいない巨大な静寂。船のすぎたあと、水は満ちも、波たちも、しない。

  • 海に陸に

    魂──地上のありとあらゆる諸物から人間を引き離す不滅の炎のきらめき

  • 私の目の光りはどうなったのか

  • あおく 深く 沈んでゆく 底へと